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個人事業主の確定申告

青色申告で必要となる簡易簿記、現金式簡易簿記、複式簿記の違いは?控除額の違いは?

簡易簿記、現金式簡易簿記、複式簿記の違いは?

青色申告というのは確定申告における申告方法の1つです。

帳簿の記帳を行い、その帳簿を元に作った決算書の添付を義務付けています。

この帳簿の記帳方法には3種類の方法が認められています。

それが、簡易簿記、現金式簡易簿記、複式簿記になります。

以下の文章ではそれぞれの記帳方法の特徴、記帳方法に応じて変わる確定申告の節税メリットについて比較します。

 

簡易簿記、現金式簡易簿記、複式簿記の具体的な内容比較

青色申告という制度は個人事業主に帳簿をつける事を推奨する目的で始められた制度になります。

帳簿をつけて自分が行っている事業のお金の流れを把握する事は経営の改善にも役立ちますし、税務署から見ても申告されている内容の真偽を帳簿から判断しやすいというメリットがあります。

そのため、税務署ではこの青色申告を行う人には様々な税金上の優遇措置を設けて、青色申告を行う事を推奨しています。

また、この青色申告で作成を求められる帳簿にも3種類の記帳方式を認めており、簿記の知識が無い人でも帳簿をつけられるように配慮しています。

今回の記事ではこの青色申告で認められている記帳方法について書いていきます。

また、それぞれについて微妙な違いがある青色申告の申請方法や確定申告の方法についても触れていきたいと思います。

 

記帳方法

青色申告の3種類の記帳方法について比較します。

まずは、簡易簿記についてです。

簡易簿記という方法はいわゆる家計簿のような形式で、発生した事実とそれに伴う現金の増減、および現金の残高で構成される記帳方法です。

例えば、車を100万円で購入して現金の残高が300万円になった場合には、

 

車を100万円で購入 +1,000,000 残高:3,000,000

 

のように記載されます。

 

一方で、現金式簡易簿記です。

この現金式簡易簿記も上記で記載した簡易簿記という方法で記載されるという事は同じですが、「現金主義」という会計の考え方に基づいて記帳が行われています。

これに対して、簡易簿記の場合には「発生主義」という会計の考え方がベースになっています。

 

「現金主義」と「発生主義」の違いを一言でいうと、「現金主義の場合には現金の受け渡しがあった時に収益や費用を認識するが、発生主義の場合には現金の受け渡しが発生するであろう取引が発生した時点で収益や費用を認識する」というものです。

 

具体例として、掛売上を行った場合を例に挙げたいと思います。

例えば3/10に商品100万円を後日入金が行われる掛売上という形で販売し、3/30に実際に100万の入金が行われて、現金残高が300万円になったケースで考えます。

この場合には現金主義であれば、

 

3/30 商品の売り上げ +1,000,000 残高:3,000,000

 

上記のように記入されます。

これに対して、発生主義の場合であれば、上記の取引が帳簿に記載されるのは同じです。

しかし、それに加えてもう一つ売掛金を管理する帳簿を作っておく必要があります。

そして、その帳簿に

 

3/10 XX社への売掛金 +1,000,000 残高:3,000,000

 

といったような形で売掛金の発生を記載しておく必要があります。

そして、3/30日に現金が実際に入って来た場合には、

 

3/30 XX社への売掛金回収 -1,000,000 残高:2,000,000

 

といった形で売掛金が減少した事を記載しておく必要があります。

このように実際に今後お金が動くであろうと想定される事実、掛売上や掛仕入が発生した場合にその事実を記録しておき、このような売上や費用の金額も決算書に含めるのが発生主義になります。

 

また、複式簿記とはいわゆる簿記という知識を使って帳簿を作成する記帳方法になります。

この複式簿記の帳簿は仕訳という形で取引を記録していきます。

たとえば、車を100万円で購入したという場合には、

 

(車両) 1,000,000 / (現金) 1,000,000

 

という形の仕訳を記録する事になります。

この複式簿記の形式で帳簿を作ると、現金が100万円減ったという事実と100万円の車を持っているという事実を記録できます。

つまり、複式簿記では現金の増減に加えて、自分がどのような資産もしくは負債を持っているかという事を管理できるようになります。

これが複式簿記の特徴になります。

青色申告にはこのような簡易簿記、現金式簡易簿記、複式簿記の形式で記帳する方法があります。

 

控除額

簡易簿記、現金式簡易簿記、複式簿記の形式で記帳した場合の青色申告における控除額の比較です。

青色申告を行う事で青色申告を行った者は「青色申告特別控除」という所得から一定金額を差し引く事が出来る所得控除という特典を受ける事が出来るようになります。

簡易簿記、現金式簡易簿記の場合には10万円の控除、複式簿記の場合には65万円の控除が認められています。

 

関連ページ:青色申告特別控除とは?10万円控除と65万円控除で比較する所得税の納税額

 

申請書

簡易簿記、現金式簡易簿記、複式簿記の形式で記帳した場合の青色申告において税務署に提出が必要な申請書の比較です。

青色申告を行う場合には事前に税務署に申請書を提出しておく必要があります。

簡易簿記と複式簿記では「青色申告承認申請書」という書類を提出しますが、現金式簡易簿記の場合には「青色申告承認申請書(兼)現金主義の所得計算による旨の届出書」という申請書を提出する事になります。

 

関連ページ:青色申告承認申請書など個人事業主が提出する書類

 

所得条件

簡易簿記、現金式簡易簿記、複式簿記による青色申告を比較すると、現金式簡易簿記にのみ所得条件というものが設けられています。

それによると、現金式簡易簿記の所得要件は「前々年度の所得が300万以下であること」とされています。

つまり、この条件を満たさない限りは現金式簡易簿記を選択する事は出来なくなります。

 

申告期限

簡易簿記、現金式簡易簿記、複式簿記による青色申告を比較すると、申告期限を過ぎた場合の対応にも違いがある事も分かります。

簡易簿記、現金式簡易簿記の場合には確定申告の期限後であっても、申告をしっかり行えば税金上のメリットをそのまま受ける事ができます。

これに対して、複式簿記による青色申告の場合には期限内申告を厳守する必要があります。

複式簿記による青色申告を行っている場合に期限後申告をすると、上記で述べた「青色申告特別控除」の金額が65万円から10万円に減額される事になります。

また、2年連続で期限後申告となってしまった場合には青色申告を行う権利を失う事になるので、注意が必要です。

 

確定申告書類

簡易簿記、現金式簡易簿記、複式簿記のそれぞれで確定申告の際に必要となる申告書類を比較すると、現金式簡易簿記の場合にだけ違いがある事が分かります。

まず、全ての申告方法において共通して必要となる申告書類は「確定申告書B」という書類になります。

そして、青色申告の場合はこれに加えて「青色申告決算書」という申告書類も必要になります。

この青色申告決算書について、簡易簿記及び複式簿記の場合には「一般用」というタイプでの提出が求められますが、現金式簡易簿記の場合には「現金主義用」というタイプを提出する事になります。

 

関連ページ:個人事業主は必ず抑えておきたい、確定申告書Bの書き方を順を追って解説!

 

帳簿

青色申告を行った者については帳簿を保存しておく事が義務付けられています。

簡易簿記、現金式簡易簿記、複式簿記での青色申告を比較すると、この保存が求められる帳簿の種類にも違いがあります。

まず、一番保存する帳簿が少ないのが現金式簡易簿記で基本的には「現金出納帳」のみの保存でよいとされています。

これに対して、もっとも保存する帳簿の種類が多いのが、簡易簿記による青色申告になります。

簡易簿記の場合には「現金出納帳」に加えて、「売掛帳」、「買掛帳」、「固定資産台帳」、「経費帳」などの帳簿の保存が義務付けられる事になっています。

なお、複式簿記の場合には仕訳というもので取引を記録するので、仕訳を記録した「仕訳帳」とその仕訳の金額を集計した「総勘定元帳」という帳簿の保存が義務付けられています。

また、「売掛帳」、「買掛帳」などの帳簿も義務ではありませんが、必要に応じて作成して保存する事が求められています。

このような帳簿は作成が必須ではありませんが、税務署からの問い合わせがあった時にスムーズに対応できるように作成しておいた方が良いものになります。

 

関連ページ:現金出納帳・預金出納帳とは?書き方を理解し、実際に記帳してみよう!

関連ページ:売掛金と買掛金の管理のしかた「売掛帳」「買掛帳」

 

青色申告で選択出来る簡易簿記、現金式簡易簿記、複式簿記のまとめ

上記の文章では青色申告で作成が義務付けられている帳簿については、簡易簿記、現金式簡易簿記、複式簿記の3つの記帳方法が認められている事についてまず述べました。

その後、それぞれの記帳方式の違いやそれぞれの記帳方法をとる場合に必要になる申告書類や申請書などの違いを取り上げて3つの記帳方法についての比較を進めてきました。

上記の記事で書いた内容を参考に青色申告で確定申告する場合の記帳方法について考えてみてはいかがでしょうか?

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